未来に向ける歯科治療 予防と治療を区別してはいけない
あおき矯正歯科院長青木英明です。
私が歯科治療の際、常に心がけていることは
「できる限り長持ちする、機能的で美しい口腔内にすること」
です。ご存じの通り、歯は削ってしまえば元には戻りません。
限りなく元の状態に近づけること、それが最善の治療であると考えます。
そのための治療の引き出しは何百個もあります。矯正治療、歯科治療、歯周治療などを症状に合わせて組み合わせる「治療のパターン」があおき矯正歯科であれば、数多く作れるのです。
肝心の治療は、生体に負担をかけないよう、やるべきことをひとつひとつ丁寧に行うこと
そして肝心の治療は、生体に負担をかけないよう、やるべきことをひとつひとつ丁寧に行うこと。精密に正確に丁寧に行うことです。当たり前のことのようですが、これが一番大切なことです。そのため1回の治療時間を長くしたり、マイクロスコープやラバーダムを使用して安全な治療環境を作ります。最新情報収集や、勉強も欠かせません。高価な材料や高度な機械だけではどうにもならないのが治療なのです。
しかし、それだけ時間と労力、費用をかけた歯が、どれくらいの期間良い状態でいてくれるかと聞かれると、答えられません。人形のお口の中を治療したのであれば100年でも1000年でも同じ状態でいると答えましょう。
だけれども生きているヒトの中で機能しているのですから、歯がすり減ったり、欠けたり、歯肉が炎症を起こしたりします。これは、ご自分の歯でも、治療した歯でも同じですが、当然治療した歯の方が、トラブルを招くリスクは高いです。
ですから、普段からのメインテナンスはもとより治療前には細かく診断し、一手先の治療を提案するか、万が一の時の治療を考えた温存のための治療をするかなど、様々な治療パターンを考えて計画を練ります。
これだけ考え抜いた治療をしても、病気にな った歯を治すことは対処療法でしかありません。
「従来の歯科治療では、う蝕や歯周病の進行を止めることは出来ないことは明らかである。定期的な口腔清掃指導などが、う蝕歯周病の発症を抑えられる」という研究発表もあります。
不幸にも病気になってしまった歯は、治療しなくてはなりません。しかし、事故でもない限り、突然歯が欠けたり折れたりすることはほぼありません。それに対し、病気は徐々に進んでいきます。病気のごく早期の段階であれば、進行を止めることも出来るでしょうが、歯科医師でも病気のスタートを目にすることは出来ません。
お口の健康を守るために、治療の介入は少ないに越したことはないのです。そのため、自分のリスクを知り、リスクをコントロールし、治療の介入が必要かをシビアに判断する。治療はシンプルに、また前述した一手先の治療や次の治療を考えての温存治療という選択も視野に入れるのです。
未来に向けた歯科治療とは、予防と治療を区別して捉えるのではなく、同一線上の歯科医療として捉え、予防(リスクのコントロール)を根底とした医療であるべきと考えます。
※Dental Diamond 2022 5 参照